相棒の世界
1時間ほど経過すると、辺りは商人や町民の声で賑わってきた。
「ガイドン、慎重に進んでくれ。
できれば誰にも見つからないようにしろ」
「わかりやしたジョンさん!!」
「…っ…だから静かに…」
ガイドンの歩くスピードが遅くなったと同時に、俺は後ろにいるニカに指示を出した。
「ニカ、俺の隣に来い。
もしお前が相棒ならの話だが」
「相棒であろうとなかろうと自分の命のためだ。側に行く」
ニカは俺の隣に来ると、俺の白シャツの袖をギュッと握った。
その手は微かに震えている。
「……っ…」
偉そうなガキのくせに怖がっているんじゃない。
そう言ってやろうとも思ったが、よくよく考えてみればまだこいつは6歳の幼い少女だ。
本来であれば母の後ろに隠れている年のはずなのに、こいつは隠れる場所もない上に命までも狙われている。
怖がって当然だ。
むしろ怖がらないほうがおかしい。