相棒の世界
「近くにある茂みに隠れろ、ガイドン。
見つかったら奴隷にされるぞ」
「…っ…分かりやしたジョンさん」
ガイドンは俺を引いて、近くの茂みに移動した。
「ここにしゃがんでください」
「ああ、分かった」
確かに近くからは車輪の音や鞭の音、そして奴隷売りたちの罵声が聞こえてくる。
ガキの頃の音と全く一緒だ。
「兎、あれはなんなんだ。
中にたくさんの人間が詰め込まれているぞ」
すぐ隣でニカが小さな声で言った。
きっと鷹の目を使って透視したんだ。
「奴隷売りだよ。
あの中にいる人間たちはいろんな場所で売り飛ばされるんだ。
そして使い物にならなければ、山奥や川に鎖をつけられたまま捨てられる。
ーーー俺がそうだった」
『こいつ使えねーじゃねーか!
この小汚い盲目ねずみが!』
『ジャッボーーーン!!!』
『んーーー!!!』
今思えば、俺がこうして生きていることは奇跡なのかもしれない。
あのとき助けられていなかったら、俺は間違いなく死んでいた。