相棒の世界
「兎、ほっといていいのか?」
「っ!!」
俺は目を大きくしてニカの方に顔を向けた。
ニカの顔は見えないが、悔しそうな思いをしているのはなんとなく分かった。
「…あの中の者たちはみんな助からないのか?
助けられないのか!?」
「……っ」
俺は唇を噛み締めた。
ニカの質問に、そうだとしか答えられないからだ。
「…ニカ。世の中は広いんだ。
悲しい運命を辿るやつだっているんだよ」
こうしか言えない自分が悔しかった。
鷹目がいさえすれば、俺は彼らを救えたかもしれない…
『ーーー大丈夫かいママさん』
ーーーいや、違う。
鷹目がいれはきっと、鷹目自身が一人で飛び出して行っていただろう。
『兎ーーー!!』
俺の前から消えてしまった、あの日のように。
「兎が助けないならーーー私が助ける」
「っ!?」
ニカは俺の腰から剣を奪い取るとすぐさま立ち上がり、茂みから出て行った。
「なっ!!」
ーーーニカ!!!