相棒の世界





「ーーーん?」



ふとニカが俺の隣に移動してきた。



そして俺のもう片方の腕に剣を持たせる。




「兎、お前は絶対来てくれると信じていたぞ」



「…っ!」



「昨日、無理だといいながら、結局は私を守ってくれたではないか」



「……ニカ」



「ふっ」と笑うと、ニカは俺の隣にピッタリとついた。



「敵の場所は変わっていない。
ーーーやれるか?兎」



自然と笑みが浮かんでしまった。



「ああ、余裕だ」





まるで、




鷹目が隣にいるように思えた。




ものすごく、




懐かしく思えたーーー。








「なんだてめぇらは!!」



前方の奴隷売りは罵声を飛ばし、腰から短剣を振り上げた。



うおおおおお!!と、声をあげながら襲いかかってくる。



「てめぇらではない」



俺は剣から鞘を外した。



「ーーー殺し屋の『兎』だ」




カキン!!



奴隷売りの短剣と俺の剣が当たった。



敵の動き、弱点、そして隙は全部予測でなんとかなる。



俺は剣ごと押し返すと、相手がふらついた瞬間に近づいていった。



そしてーーー



「グハッ!!」



一撃を加えた。





手によぎる懐かしい感覚。



心底に眠っていた何かがざわめき始めた。







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