相棒の世界




ーーーパタン。



相手が倒れたと同時にニカの声が聞こえてきた。



「兎!もう1人がすぐ後ろに近づいてきている!」



俺は瞬時に振り返ると、剣を横に振った。



「グホッ!」



もう1人の方もすぐに倒れる。



俺は自分の顔に触れた。



顔についたものーーーそれはこの奴隷売りたちの血だった。



「………」



少しだけ指先が震えた。



なにせ人の血に触れたのは6年ぶり。



ーーー鷹目の血以来だ。




「兎!」



ふと、ニカが隣にぴったりとついた。



「中にもう一人いるぞ」



「ああ、分かった」




俺は剣を両手に持ったまま、ニカに背を向けてしゃがみこんだ。




「乗れ、跳ぶぞ」





ニカが背中に乗ったのを確認すると、箱の上まで跳んだ。




そしてーーー



バキバキバキ!!!



木質の板を足で突き破った。








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