相棒の世界
ーーーバタン…
最後の一人が倒れると、辺りは急に静まり返った。
「ハァ、ハァ…」
自分のあがった息しか耳に聞こえてこない。
「大丈夫か、兎!」
ニカは俺の背から降りると、目の前に移動してきた。
「ビリッ!」
「んっ!」
そして自分のワンピースの裾を破り、俺の左頬に当ててくる。
「…ったく、これくらいの傷で自分の服を破くな。
いつか全部なくなるぞ」
「黙ってろ!」
ニカは真剣な声で叫ぶと、それ以上は何もしゃべらなかった。
「ーーーあ、あの…!」
「…っ?」
ふとすぐ近くから、また違う声が聞こえてきた。
「兎、奴隷の1人だぞ」
「ああ、それくらいは分かる」
俺は声が聞こえた方に体ごと向けた。
奴隷のすすり泣く声が聞こえてくるーーー
「本当に…グスッ…本当にありがとうございましたぁ!!」
声からすれば女性だろうか。
涙声が耳の奥に響く。
「ーーーいや、礼は言うな」
『死ね!盲目のガキがぁぁぁ!!!』
『うっ…うぁ…!!』
「これは俺のーーー復讐だ」