相棒の世界
ーーーアルバート。
俺の本名だ。
俺は1歳の誕生日に父親に捨てられた。
母さんと共に家を追い出されたのだ。
ーーー理由はただ一つ。
俺が盲目だったということ。
ーーー男の子が生まれたということで、一家は喜んでいた。
小さな貿易会社を経営していた父親が、跡取りを強く望んでいたからだ。
しかし生まれてしばらく経つと、父親は俺の異変に気付いた。
ーーーそれは、自分の顔を見てくれないということ。
後に医者に診てもらったところ、俺が盲目であることが分かった。
『完全に見えていない』
医者のこの言葉に父は絶望した。
そしてーーー
「あなた!やめて!!」
「こんな足手まといは必要ない!!」
俺を殺そうとした。
俺を心から愛していた母さんは、必死で父親から俺を守ってくれた。
そして最終的にはーーー
「その足手まといを連れて、さっさと出て行け!!」
俺と共に家を追い出された。