相棒の世界
「ーーージョンさん」
「なんだ」
「そこの壁に掛けられているのは…なんとかハットってやつですよね?」
「……っ!」
俺は靴を縫い合わせる手を止めた。
「サルクハット…いや違う。
シルム…いやこれも違う…」
「………」
俺は修理中の靴から手を離し、静かに立ち上がった。
そして、壁に掛けられているボロボロの帽子を手に取った。
「ーーーシルクハットだ…」
「あーそれそれ!!シルクハット!!」
俺はボロボロになったシルクハットの表面をサラッと撫でーーー
「………」
かつて、俺の『相棒』だった男を思い浮かべたーーー