相棒の世界
ーーー俺は揺れる橋に立たされた。
下までの距離がどれくらいなのかは分からなかった。
だが死ねるならそれでいい。
俺はそう思って、背中を押されるのを黙って待っていた。
ーーー生きるとはなんだろう?
死ぬ寸前に、ふと疑問が思い浮かんだ。
以前も考えたことのある疑問だ。
世界が見れない状態で生まれてきた俺は、父に捨てられ、奴隷に捕まり、母と別れ、今こうして殺されようとしているーーー。
俺はーーー
なんのためにこの世界に生まれてきたんだ…?
神様はーーー
どうして俺をこの世に降ろしたんだ…?
ーーードンッ!
俺は突き落とされた。
「死ね!盲目ねずみ!!」
背後から奴隷売り達の笑い声が聞こえてきた。
俺は重力に流されるまま、下へ下へと落ちていった。
そしてーーー
「ジャッボーーーン!!!」
川の中へと沈んでいった。