相棒の世界






ーーー俺は揺れる橋に立たされた。




下までの距離がどれくらいなのかは分からなかった。




だが死ねるならそれでいい。




俺はそう思って、背中を押されるのを黙って待っていた。









ーーー生きるとはなんだろう?




死ぬ寸前に、ふと疑問が思い浮かんだ。



以前も考えたことのある疑問だ。





世界が見れない状態で生まれてきた俺は、父に捨てられ、奴隷に捕まり、母と別れ、今こうして殺されようとしているーーー。







俺はーーー



なんのためにこの世界に生まれてきたんだ…?






神様はーーー



どうして俺をこの世に降ろしたんだ…?











ーーードンッ!





俺は突き落とされた。




「死ね!盲目ねずみ!!」




背後から奴隷売り達の笑い声が聞こえてきた。






俺は重力に流されるまま、下へ下へと落ちていった。





そしてーーー





「ジャッボーーーン!!!」





川の中へと沈んでいった。







< 84 / 506 >

この作品をシェア

pagetop