相棒の世界
「んーーー!!!」
水の中は思った以上に苦しかった。
体を蛇のようにくねらせ、俺はただただ苦しんだ。
体はどんどん沈んで行き、底に着くことはない。
自分の涙が川の水に溶けていく。
生きるとはーーーなんなんだ…?
俺はまだこの疑問の答えが分かっていなかった。
これから死んでゆく俺は、もうこの答えを知らなくてもいいと言うのか。
神は残酷だと思いながら、俺はゆっくりと瞼を閉じたーーー。
「ザッブーーーン!!」
「っ!!」
ふと、誰かが川に飛び込んできた。
そしてーーー
ガシッ!
俺の腕を掴むと、ゆっくりと抱き寄せていった。
ーーーあ……
苦しさが消えていき、俺の体は誰かの温もりで満たされていった。
こうやって抱きしめられるのは、ずっと昔に別れた母さん以来だった。
ーーー俺は引き上げられた。
水を吸ったボロ服が、俺の体に重く張り付く。
「ーーーしっかりしろ!!」
ひたすら耳元で叫んでくる男性の声。
「ハァ…ハァ……」
その記憶を最後に、俺は気を失ったーーー。