相棒の世界
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とある暗い森の中ーーー
一本の木に寄りかかる仮面の男の元に、一人の手下が駆け寄った。
「ーーー黒犬様」
「なんだ」
「…どうやら『鷹』と『兎』は、東側の奴隷町に向かっていったそうです…」
「なんだと?」
そう言うと、仮面の男は急に声を上げて笑い始めた。
「はっはっは…なかなか面白いじゃないか!
ーーーあの兎が…まさかな」
仮面の男は両手をズボンのポケットに入れると、顔を上に向けた。
「ーーーさすが兎。
なかなか頭の切れるやつだ。
ーーーわざと危険な道を進んだな。
自分の『心』を犠牲にしてまでも…」
仮面の男は木から起き上がると、数歩だけ前に進んだ。
そして、前を向いたまま口を開く。
「ーーー場所は分かってるのか?」
「はい…おそらく奴隷町を北上しているため、次に向かうのは一つ上の町でしょう」
「なるほどな」
ふっ、と笑みを浮かべると、仮面の男は手下の方を振り向いた。