相棒の世界
「ガシャーン!!」
「きゃああああ!!!」
辺りは市場が荒らされる音と人々の叫び声だけになる。
そして奴はーーー着々と俺たちに近づいてきていた。
「ーーー兎!跳べないか!?」
ふとニカが声を上げた。
「このままだとだめだ!
もうじき追いつかれるぞ!!」
「……ちっ…」
「ガシャーーン!!パリンッ!!
きゃああああ!!!」
俺は後ろを振り返るも、聞こえてくるのは町が荒らされる音。
そしてーーー
「ぎゃはははははは!!!」
ーーー奴の笑い声。
「……っ…」
10年ぶりに聞いた声。
鳥肌が立つと同時にーーー
ーーー懐かしさも感じた。
「兎!!!」
ニカの叫び声で俺は前を向くと、決心してニカを抱えた。
「っ!兎…」
「とりあえず跳ぶぞ、ニカ。
ガイドンも捕まれ」
「っ!?ジョンさん!?!?」
「いいからはやくしろ!」