相棒の世界
「兎……」
ニカは俺の隣に来ると、シャツをギュッと掴んだ。
「奴を…北の悪魔を知っているのか…?」
ーーービュウッと強い風が吹く。
その風の音と共に、奴の笑い声が耳に刺さってくる。
「ああ、知っている」
俺は瞼を開けた。
奴の気配ーーー懐かしい気配が強く感じられる。
「北の悪魔は人間離れした脚力を持っている。
俺はこいつから『脚』をもらった。
そしてこいつはーーー」
『…アルバート、一緒に生きてみないか?』
頭の中に昔の記憶が蘇ってくるーーー。
「ーーー俺の育ての親だ」