“say thank you”


「あ、ごめーん」


有奈はそういうと、荷物を持って自分の席へ戻った。




「あ、あの…」


前の席の子が控えめに私に話しかけてきた。




「なに?」



口調は違うけれど、有奈と同じ言葉を発してしまったことに密かに後悔する私。



「日野さん…って、あんなに怖いの?」



「さぁね…わからない。」



私は無意識に無責任な答え方をしてしまった。




でも、わからないんだ。



私と喧嘩したときの有奈に何があったのか。



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