【詩的小説短編集】=想い=
見つめて…
私は新垣 梓(アラガキアズサ)24才。

短大を卒業して今の会社に入ったから、もう4年経つ。
なのに仕事をひとつも任せてもらえないし、半年前に恋人とは別れちゃたし、こんな単調な生活に未来なんかある訳無いっうの。

つまんないなぁなんて窓の外を見て思っている。

「えぇーみんな注目!」

あー課長がなんか言ってるよ…

「紹介しよう。今日から一緒に働く事になった斉藤敬介(サイトウケイスケ)君だ。よろしく頼むぞ。彼は大学出立ての22才だ」

一緒に来た部長が一人の男の子を紹介した。
『新入社員かぁ私にもあんな時代があったなぁ……』

ぼーっとそう思っていたら、なんと私の隣のデスクに来たではないか。

「よろしくっす。先輩!!」

斉藤敬介と名乗った男の子は元気に挨拶をしてきた。

『なんだこの若造は、言葉遣いなってないし……こりゃ一から教育しなおしだね』

それから私は毎日ひとつひとつ彼に解りやすいよう仕事を教えていった。

「今日は残業だよ。この書類終わらせないと!」

「はい!!」

忙しい毎日の中でも残業も嫌がらずに手伝ってくれた……

「お疲れ様」

「あず先輩…俺疲れたっよ」

コーヒーを渡すと、すぐにこれだ…根性ないんだから。

『まぁそんなところが可愛かったりするけどね』

仕事が終わって飲みに行くのも一緒。
普段はできない過去の失恋話しにも笑い転げたりした。


近過ぎて、彼が傍にいるのが当たり前な日々なんだ。


『私、敬介君が好き……』

『うんん……きっとそれ以上。今は私が貴方を1番近くで見つめてる。それは許されるよね』

口に出しては言えない思い。

みんなで遊んでる時に撮った写真。
こんな時にしかカメラを出せない自分が惨め。

でも渾身のツーショット写真を一枚見つけた。誰にもバレないように、そっと手帳に挟んでおいたよ。

一人、その写真を見詰めながら溜め息と涙が出た。
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