【詩的小説短編集】=想い=
肩
何かに失敗して肩を落としている君がいる。
誰かと肩を叩きあって笑ってる君がいる。
目の前の問題が解らなくて困って肩をすくめる君がいる。
僕の目の前にはいつも小さな君の肩がある。
どんな場面でも、そんな君の肩に触れることのできない僕はちっちゃくて、惨めで臆病者なんだ。
大好きな君に想いさえも伝えられない。
ただ遠くから見守るしかできない。
時々だけど君が僕に笑いかける。
そんな時、いったいどんな笑顔で応えればいいのだろう?
ぎこちなく、小さな会釈をひとつして君を見ないようにする。
そんな僕に小首を傾げる君は、再び悪戯っ子な笑顔を僕に向け、また自分の世界へと戻って行く。
僕の中の世界はとても大きく、いつでも君をすっぽりと包んでしまう。
君は子猫のように小さな伸びをしながら、僕の中の太陽に照されて眠る。
でも、本当の君は雲のように軽やかで、鳥のように自由に羽ばたいている。
とても僕なんかには手が届かない女性……
だから、いつでも君を見守ってるだけって決めたんだ。
とてもちっぽけだけど、大きな僕の夢………
いつか僕の視線に気がついてください。
君の矛先が僕の知らない誰かに向いていても僕はずっと君に向かっている。
ちっちゃい君の肩をいつも見つめているから……
=fin=