【詩的小説短編集】=想い=
=BIRTHDAY=
「あ゙〜〜ぁ゙もうだめぇ〜」
ファミレスのテーブルにうつぶせになり、溜め息と唸り声を混じらせた。
「ツグミってば、なに情けない声出してるのよぉ〜」
親友のサヤコが頭をポンポンと叩いた。
「だってぇ〜私もうじき年寄りになるんだよ〜〜しかも独身で」
「何をおっしゃる。私なんか3ヶ月前に終わったわよ。もちろん独身で」
サヤコは頬づえをつきながらそう言った。
誕生日を来週に控えたツグミには、お祝いしてくれる彼氏がいなかった。
「お互い寂しいよねぇ〜23にもなってさ」
「ツグミ、職場のあの方はどうしたの?」
「ん?」
「ほら、誕生日までにものにするって言ってたじゃない?」
そう言われてツグミは頭をフル回転させた。
「あー、彼?ダメダメ」
首を横に振るのと一緒に手もヒラヒラと動かした。
「撃沈?」
「うん、沈没」
そう笑いながらサヤコに近況報告をした。
「彼と誕生日の話しになったのね」
ウンウンと頷くサヤコ。
「彼の誕生日はもう過ぎちゃってて………あっそういやぁ、サヤコ、あんたと同じ日だったよ」
「ありゃりゃ、そりゃ忘れたくても忘れらんないねぇ〜」
「わかってラッキー♪とか思ったんだけどさ……」
ツグミは目の前にあるグラスの中の氷をチャランとつついた。
「んで……」
サヤコはアイスティーをすする。
「思い切って、『私の誕生日、来週なんです』って言ったの」
「すごいじゃん♪」
「ふーん。って……」
「えっ?それでおしまい??」
「うん。私には興味ないみたい」
ツグミはグスンと泣きまねをした。
「そっか……じゃ、私の時みたいに二人でオケるか♪」
ツグミの誕生日はカラオケ大会と決定した。
「23才カンパーイ」
少し早いけど、二人で笑ってグラスを傾けた。
今年こそ、きっといい出会いがある。
今年こそ、幸せがやってくる。
毎日、楽しくて、笑いあえて明るい年になる。
だって産まれるた日は年に1度、新しい自分が生まれ変われる日だから。
特別な日に……
HAPPY BIRTHDAY!
=fin=