俺様社長に振り回されるのも悪くない
『遅くにごめんね』
『最終でそっち行くから、駅まで迎えに来て欲しいんだ』
突然の帰省にお父さんも驚いている
「……遥くんと何かあったのか?」
『ち、違うよ。溜まってる有給消化!それに社長は忙しくて、喧嘩なんてしてる暇はないの』
喧嘩なんてしない……
だってロクに話もしてない
『そういうわけだから、そっちに着くのが11時過ぎー』
お父さんと話しているときに
あの匂いがした……
忘れていたあの匂い
そして……人が行き交う中で
私とその匂いの持ち主の肩がぶつかった
『す、すみません』
私が謝ると、その人は柔かな笑顔で
「こちらこそ、ごめんなさい」
そう言って歩き出した
あの匂い……
私はその人を目で追っていた