Dear U
どれだけぼんやりしていたのだろうか。

しのぶも何か考えているようだった。


しのぶ
悪いぼーっとしてた。


しのぶの返事がない。

しのぶ
しのぶ




ようやく僕の声に気がついたみたいだ。

そして僕はしのぶに言った。

急がなくていい。
突然のことで驚かせたかもしれない。
返事はゆっくりでいいから。


そう伝えておきながら
何故か胸のひっかかりを感じていた。



そしてしのぶは何かを決意したみたいに
ゆっくりと彼女の口が開いていった。



ごめんなさい。

あたしは青井クンとは今すぐには結婚できない。

もう少しゆっくり考えてみるね。



しのぶはそう言って僕の目を見た。


僕が別のことを一瞬考えてしまったことを悟られてるような気がした。


僕は悲しく笑うしかなかった。


あれだけ愛していた彼女なのに

例え僕以外の男を好きになっても
僕をずっと好きでいてくれた彼女なのに


僕は最後の最後で
別の女の子を思い出していた。
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