どっちを選べばいいの?
やばい。夏穂ってこういうことする人だっけ?
少しどきどきする。
百メートルくらい歩いたら、やっと人通りが少ないところに出た。
「夏穂、もういいぞ。」
そして、夏穂は俺の服の裾から手をはなした。
「ねぇ、由宇くん。」
「ん?」
夏穂は、さみしそうな顔で、俺にこう言った。
「今日ね、家に帰っても、お父さんもお母さんも仕事でいないの。」
「さみしいのか?」
「......うん。わがままだけど、由宇くんの家に、泊まっていいかな......?」
「おう。いいよ。」
夏穂がさみしがってるのに、放って置けねぇだろ。
「え?いいの!?あっ。由宇くんのお母さんは?泊めてくれるかな?」
「母さんは、友達と1泊してくる、て言ってたから、明日帰ってくる。」
「そうなんだ。」
「俺の家にくるんだから、俺の言うこと、聞けよ?」
「はーい!」
夏穂の家に着くと、夏穂は着ていた浴衣をハンガーにかけて、お風呂に入った。