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そのキスはタバコの味がした。

苦くて苦くて最悪だった。
だけど離れてしまうと
恋しくなってまたしたくなって...

それはきっと大ちゃんのキスだから。

唇が離れて大ちゃんの顔を見ると
笑ってた。

さっきの涙はもうどこかに
いってしまっていた。


「ふふっこれでおしまい」

そう言うと大ちゃんは
部屋の扉を開けた。

「何もなかった。
俺との出逢いもぜーんぶなし。」

私の顔を覗き込んでそう言った。
私の答えも待たずに
その扉の方に連れて行って
最後に強く抱きしめた。

そして耳元で囁いた。

「お幸せに」

その言葉を最後に
私は扉の向こうへと押されて

扉はバンっと大きな音をたてて

閉まった。

私は扉の前で座り込んでしまった。
涙がこぼれて床に落ちていく。


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