約束の果てに


2年後――――…


線香の香りが辺りに漂う

私はお墓の前で静かに手を合わせた


蓮「…………」


琉「もう2年経ったのか。早いもんだな」


そう言って琉も私の隣で静かに手を合わせた


蓮「桜…元気にしてるかな…」


琉「あいつの事だ。元気にしてるさ
それよりもう報告したのか?」


蓮「まだ…」


琉「なにしてんだよ馬鹿
今日ここに来たのはそれが目的だろ
早く報告してやれ」


蓮「馬鹿って言わないでよ
これからしようと思ってたの!」


琉「そーかよ」


琉は私の手をそっと握った


蓮「桜…今日は実は桜に報告したい事があって来たんだ
私達ね明日結婚するんだ

桜…びっくりした?
だけどねもうひとつ大事な報告があるの

今ね…私のお腹の中にもうひとつ小さな命が宿ってるの
琉と私のこどもだよ

桜…今、私すっごい幸せなの
友達がいて大切な人も沢山いて大好きな人がいて…大好きな人と結婚出来て大好きな人のこどもが出来て本当に本当に幸せなの
だから…何も心配しないで

桜との約束ちゃんと守ってるから」


琉「桜、こいつ何かと危なかっしい奴だから俺も正直大変なんだけどな

でも俺は…蓮が好きだ。その気持ちは本当だ

お前の前でもう一度約束する
俺が必ずこいつらを守る。だから何も心配すんな」


桜…聞こえてるかな…


蓮「…もう行くね
次にここに来るときは3人で来るから楽しみにしててね
じゃぁ…またね」


私達はお墓を後にした
そしてそっと空を見上げた


蓮「あ…」


琉「どうした?」



蓮「今、桜が笑った気がした」



琉「…そうだな」


桜…いつか絶対伝えにいくからね

だから待ってて


その約束の果てに……





*おわり*


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