約束の果てに
*桜*
桜「…もう…蕾がついてる」
――――…
桜「れーん?ここに居るんでしょー出ておいでー?」
桜の木の影で蓮はしくしく泣いていた
桜「やーっぱりここにいた!ほら帰るよ
お母さん達も心配してる」
蓮「わーんっ、お姉ちゃーん!」
桜「蓮は泣き虫なんだから…
さっ、お姉ちゃんと一緒に帰ろ?」
―――――――……
桜「ずっと…蓮とこの桜を見ていたかったのにな…あの事故さえ無ければ…」
キ―――ン…
"蓮が居なければ……"
桜「えっ…何?今の…」
声がしたような……
あっ誰か来た…!
桜「―お母さん…っ」
お母さんがなんでここに…
花束…もしかして私に?
お母さんは花束を置いて静かに手を合わせた
私はただじっとお母さんの姿を見ていた
母「―ごめんね…桜」
小さなお母さんの声。そして零れる涙
桜「何で…どうしてお母さんが謝るの
お母さんは何も悪くないじゃないっ
お母さんのせいじゃないっ
だから泣かないで…!」
当然私の声がお母さんに届くはずもない
桜「どうして…!
こんなに近くに居るのに私の声は届かないっ…」
私は悔しくて涙を流した
『――――…クス』
そんな私を見て笑っている人が居るとも知らずに
『クスクス…あんた達の絆私が壊してあげる……
可哀想な桜…
どうして私がこんな目にあわなきゃならないの?
あの時蓮さえ居なければ…蓮が死んでれば良かったのに
蓮なんて要らない…』
桜「――――…?」
『クスクスクス―…』