過去詩たち
「見たよ」
「見えたよ」
「見たんだ」
どうして
どうして
どうして
気付いてよ
気付かないで
透明な何かになる前に
言葉が消える前に
自分から言葉が失くなる前に
自分が本当に消えてしまう前に
「誰か」に生ったよ
「誰か」として産まれたよ
「誰か」が存在しているよ
見えない振りをしないでよ
見ない振りしないでよ
此処に居るよ
此処に存在して居るよ
此処で息をして居るよ
記憶して
写真を撮って
話を聴いて
そろそろ良いかい?
もう良いかい?
隠れんぼを終了しよう?
耳を済ませておくれ
心に手を宛てておくれ
耳を塞いでおくれ
最期の御話しでもしようか
止めて
止めろ
辞めてくれ
明かされたよ
溶ける瞬間に泣いたよ
君と初めて出逢った気がしないんだ
嗚呼 そうか
嗚呼 君が
嗚呼 自分が
「誰か」
「誰か」
「誰か」
「何か」
もう一度
もう一回
「始めから居なかったよ」
「居るよ」
言い張り又哭いた
啼いた嘆いた
確かに笑っていた
微笑んで自分の所で解けたんだ
何かが割れた音がしたんだ
君の所に居るのに
感覚は全く無い
其は当たり前の事だった
「今日は」
「今日は」
返ってくる挨拶
自分は初めて微笑んだ
自分は初めて夢じゃない物語に居る
自分と言う名の物語に
「有り難う」
「さようなら」
又逢うことは無いけれど
今度は一緒に笑おうね
今度は一緒に叱ろうね
今度は一緒に居ようね
今度は一緒に息をしよう
自分が消えてしまう時までは