院内恋愛(旧:恋の階段*タイトル変更しました)
今なら、大丈夫かな…

すでに、立ち上がって今にも背を向けそうな蒼介に手をのばす。

「先生、抱っこー。起こしてー。」

先生って言っちゃった。5年前の学生と研修医だったときの距離感の方が、甘えやすいのが出てしまった。

ちょっと驚いて呆れたような顔をしているけれど、目は優しく笑っているからほっとする。

「手のかかる患者さんだな。」

先生と呼んだのを患者と解釈されたらしい。

そっと背中に手を入れて、抱き起こしてくれるから、慌ててタオルケットを胸元まで引き寄せる。

「着替えも手伝おうか?」

「…それは、大丈夫です。」

そういうと、落ちていた服をベッドに置いて、頭をグリグリなでて、今度こそ部屋を出て行った。
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