院内恋愛(旧:恋の階段*タイトル変更しました)
五年前…
私は21才で看護学生最後の一年だった。
夜間の看護学部に通う学生で、昼は今の勤務先でもある市立病院でアルバイトの日々。
看護学校が、市立病院の提携先であり、奨学金も出る条件として、日中のアルバイトと卒業後3年間は市立病院で勤務することが定められていた。
学生とは言え、働いて3年目。院内に慣れ親しみ、最初の勤務先の病棟に同じ名字のナースがいたことから、みんなに「真美ちゃん」と呼ばれ、可愛がってもらい、いそがしいながらも学生という楽しさも享受した日々を過ごしていた。
学生さんは若葉マーク、とよばれる薄い緑の上下が分かれた白衣(緑だけど)を着て、看護助手として院内をバタバタしていた。
蒼介は、研修医1年目の25才で、市立病院に勤務していた。
長身、イケメン、医者というもてる要素を兼ね備えていたけれど、上下分かれた白衣を着た研修医。落ち着いて穏やかそうな雰囲気はしていたけれど、やはり線の細さと危なっかしさ、経験不足は感じられ、先輩医師やお姉さま方に可愛がられ、育てられといった雰囲気だった。
自らも、病棟での採血や雑用も積極的にしているようだった。私も健康診断の血液検査をしてもらった、というか練習台にされた。
蒼介とは同じ病棟にいた時期もあり、夕方学校へ行くために早めに勤務を終え、職員の休憩スペースで、お菓子を食べているとよくからかわれた。「また、食べてるの?」と。
病院に慣れた3年目とはいえ年下の学生、研修医が声をかけやすいポジションでキャラだったのかもしれない。
私も気安く返していた。
「お疲れさまでーす。これから、学校ですもん。」
「先生の注射痛そう。」
「先生もお煎餅食べますか?おいしいですよ。」
などなど。
飲み会で、お姉さま方にアドレスを聞かれた蒼介が、教えているとき(教えざるを得ない時)に、お姉さまに、「真美ちゃんも教えてもらいなよ。」と言われ、私の携帯にも登録されたアドレス。スマホになった今も、消去するタイミングが分からないままに残されている。私は、そのアドレスに送ることはなかったから、蒼介は、私のアドレスは知らないのだけれど。もう、そんなこと覚えていないだろうなぁ…
私は21才で看護学生最後の一年だった。
夜間の看護学部に通う学生で、昼は今の勤務先でもある市立病院でアルバイトの日々。
看護学校が、市立病院の提携先であり、奨学金も出る条件として、日中のアルバイトと卒業後3年間は市立病院で勤務することが定められていた。
学生とは言え、働いて3年目。院内に慣れ親しみ、最初の勤務先の病棟に同じ名字のナースがいたことから、みんなに「真美ちゃん」と呼ばれ、可愛がってもらい、いそがしいながらも学生という楽しさも享受した日々を過ごしていた。
学生さんは若葉マーク、とよばれる薄い緑の上下が分かれた白衣(緑だけど)を着て、看護助手として院内をバタバタしていた。
蒼介は、研修医1年目の25才で、市立病院に勤務していた。
長身、イケメン、医者というもてる要素を兼ね備えていたけれど、上下分かれた白衣を着た研修医。落ち着いて穏やかそうな雰囲気はしていたけれど、やはり線の細さと危なっかしさ、経験不足は感じられ、先輩医師やお姉さま方に可愛がられ、育てられといった雰囲気だった。
自らも、病棟での採血や雑用も積極的にしているようだった。私も健康診断の血液検査をしてもらった、というか練習台にされた。
蒼介とは同じ病棟にいた時期もあり、夕方学校へ行くために早めに勤務を終え、職員の休憩スペースで、お菓子を食べているとよくからかわれた。「また、食べてるの?」と。
病院に慣れた3年目とはいえ年下の学生、研修医が声をかけやすいポジションでキャラだったのかもしれない。
私も気安く返していた。
「お疲れさまでーす。これから、学校ですもん。」
「先生の注射痛そう。」
「先生もお煎餅食べますか?おいしいですよ。」
などなど。
飲み会で、お姉さま方にアドレスを聞かれた蒼介が、教えているとき(教えざるを得ない時)に、お姉さまに、「真美ちゃんも教えてもらいなよ。」と言われ、私の携帯にも登録されたアドレス。スマホになった今も、消去するタイミングが分からないままに残されている。私は、そのアドレスに送ることはなかったから、蒼介は、私のアドレスは知らないのだけれど。もう、そんなこと覚えていないだろうなぁ…