*完結* 星野と高瀬のばあい
第一章/進路白紙
ゆでガエルになるな、

と、担任の大平はいった。


なんでも冷水を張ったバケツの中に入れたカエルは、わずかずつ湯を注いで

水温を上げてゆくと、熱されていることに気づかないまま、ゆでガエルになってしまうらしい。


現状に安寧するな、
常に危機感をもて、
これでいいのか自分に問いかけろ、
気づいたときには手遅れになるぞ、



———ようするに、もっと勉強しろと言いたいらしい。


誰がなんのためにそんな実験を思いつき、あまつさえ遂行したのか、
哀れなカエルを茹でて、何を知りたかったのだろう。


大平にはその疑問はわかなかったようだ。
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