*完結* 星野と高瀬のばあい
「それは言えてる」


「だからときどき、姉ちゃんがうらやましい」

自分とよく似たハシバミ色の瞳には、アンニュイという表現が似合う、と思う。


「あいつはただの変態でストーカーだよ」


「つーか、物好き。友達が一人もいない姉ちゃんにだよ」

「うっさい」


友達が一人もいない姉を、友達がたくさんいる弟がうらやましい、とは10年早い。

・・・もはや屁理屈にもなっていない。



——母さん、今日も遅そうだね、

汀がぽつりとつぶやく。

「あの一件が、まだ尾をひいてんのかな」
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