*完結* 星野と高瀬のばあい
ようやくホームルームが終わると、「解放」という言葉の意味を実感する。


放課後、教室に残っているクラスメイトは、
いったいなにが楽しいのだろうと、素朴に疑問だ。


ついでに、ファミレスやファーストフード店やカラオケに寄り道する
相手の持ち合わせもないので、当然ながら予定は絶無だ。


クラスの女の子が必ず持っている、あのかわいらしいキャラクターの
手帳には、なにが詰まっているのやら。


自分が持ったところで、間違いなく新品同様で一年が終わるだろう。


そそくさと教室を出て、早足に階段を下りる。
一面にとられた踊り場のガラスから、かたむきかけた陽が降りかかり、まぶしさに目を細めた。

4月だというのに、夏へのスタートダッシュを始めたかのように、陽射しは勢いを増した。
人より色素のうすい自分の目は、太陽光に敏感だ。



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