*完結* 星野と高瀬のばあい
「しょうがないかって思っちゃう」


「しょうがなくないでしょうよ、あたしには理解できない」


「人が自分と同じように思わないからって、怒んないでよ。
俺がいいんだから、よくない」


「ならしないでよ、その話」

「でも、知らなかったら知らなかったで、気分悪いでしょ」

「・・・・」



いつもいつもこの弟は、姉やら母親やらに気を遣って、エゴを押し付けられて、
わがままを聞いて、割を食って、それでもしょうがないと受け入れてしまうのだ。


せめて、母や姉とはまるで違う、優しく思いやりのある彼女ができればいい。

目の前でもぐもぐ口を動かしている弟を見ながら、そう願う。


だけど・・・そんな子が現れたら、自分は妬んだりひがんだり、勝手な劣等感をつのらせたりするんだろう。
どうしようもなく。
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