*完結* 星野と高瀬のばあい
*   *   *


そこで終わっている。
どこからか、エンドロールが流れてくるんじゃないかと思った。

でもその下はただの余白で、なにもなかった。

余白を埋めてくれる何かを求めるように、高瀬に視線を向けた。
高瀬の顔に影が落ちている。

比喩じゃなく、見上げると陽はもうだいぶん落ちていた。

太陽は校舎の反対側に沈みつつある。自分たちがいる場所は、影に包まれていた。

手元が暗くなっていくことにも気づかないほど、夢中で読みふけっていたようだ。


「———これで終わりなの?」

「とりあえず、それでおしまい。202高地は名無しに戻った。続きはない」
高瀬がゆっくり答える。
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