*完結* 星野と高瀬のばあい
隣の高瀬の存在をなかば忘れていた。
しおさが読み終わるまで、ただじっと待っていたのか。


「内容からして、星野の母さんの会社の事件で間違いないんじゃないかと」

うん、とうなづく。
それは間違いないだろう。いくつかの事柄が、ぴたりと符合している。


「・・・どうするコレ、おばさんに教えてあげたら、犯人分かるかもよ」

ただネットの投稿だと、証拠能力は低いと思うけど。事件をもとにした創作です、って言い逃れされたらそれまでだし、と言い添える。


「言わないよ」

思考はまとまらないまま、ただそう答えた。

教えてなどやるものか。
汀なら、あのお人好しの弟なら、もっと違う反応をするかもしれないけど。


そっか、と高瀬が隣でうなづくのが、気配で分かった。
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