*完結* 星野と高瀬のばあい
世界はなんて、なんて複雑な色をしているんだろう。

犯人はクロで、被害者はシロで、そんなふうに塗り分けなんてできそうもない。

全ての色素を混ぜ込んでしまったように、目の前で暗い色彩がうねり動いている。

形も色も言い表すことができない。混沌、とはこんな具合をいうんだろうか。


一つだけ、分かったことがある。


「———その人、A男っていわれてるマネージャーが、たぶん今うちの母親が付き合ってるヒト。
つーか、不倫してるヒト」

我ながら低い声が出た。


うん、と高瀬があいづちを打つ。
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