*完結* 星野と高瀬のばあい
中学生のときだったか、同級生に
「星野しおさってさぁ、街中でサングラスなんてかけて歩いちゃってんの」
「なにそれ、芸能人気取りかよ」
とか陰口を叩かれていたらしい。

自分の場合は、ファッションの小道具ではなく、必需品なのだが。


理解を得られる日は遠そうだ。それこそ地球と太陽の距離くらい。
距離は遠いくせに、どちらもときに殺意を感じるくらい自分に攻撃的だ。

まあいい、サングラスがあり、高瀬がいる。それだけでだいぶん楽に過ごせる。



ごめん、海に誘って。高瀬がつぶやく。

いいよ、約束だもん。そう返せる自分は、少し成長したといえるんじゃなかろうか。
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