魔法使いの一日
ミリンの言葉を遮るかのよう、私は結界に力いっぱいの蹴りを喰らわせた。


ピシッ…


すると、結界にヒビが入り、もう一発喰らわせれば壊れそうだった。


「やった!」


これで逃げられる!と、思ったのだが……なんと結界からシュウシュウと煙が出て、瞬く間にヒビは綺麗さっぱりに直ってしまったのだ。


「な、何で!?」

「無駄ですよ。この結界は普通のとは違い特殊なもので、破壊しようと試みてもすぐに再生するようになっているんです。といっても、そうなるのはこの装置のおかげなのですがね」


と、ミリンが取り出したのは両端に赤い球のような装飾品がついた、手に納まる程度の長さの棒だった。


「耄碌爺の目を盗んで持ち出してきたかいがありましたです」

「無断で何やってんの!!?」








< 114 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop