魔法使いの一日
それに、この口調からしてミリンは嘘は言っていない。本当に私達をどうこうしようなんて考えはないのだ。


でも、それが本当なら、何で結界を張る必要があるのだろうか。今更浮かんできた疑問に頭を悩ませる。


「あのさ、ミリンの考えは分かったんだけど、なら何で結界を張ったわけ?」

「ああ、そのことですか。それは、見てみたいからなのですよ」


何を―――……、と問おうとした瞬間、目の前からミリンの姿が消えた。


そう思った刹那、背後から気配を感じ慌てて振り返ると、


ドゴオッ!!


「うっぎゃああああぁぁあああぁ!!!?」


ミリンは蹴りを私に喰らわせようとしていて、私は咄嗟に頭を覆いその場に蹲る。すると、ミリンの蹴りは私のすぐ傍にあった街灯に当たり、そのあまりの衝撃で折れ曲がり、重さに耐え切れなくなったのか、折れ曲がった所を中心に倒れてしまった。






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