魔法使いの一日
「うっ。そっそれは……」
少年はとても困った顔をして、そのまま項垂れてしまった。
「あれあれぇ〜? どうしたのかなぁ? 魔法使いならほうきの一つや二つ、簡単に乗れるよねぇ? う〜ん?」
自分で言っておいて何だが、凄い意地悪を言っていると思う。所詮は手品。トリックにも限界があるっていうのに。
だが、今日は私も本当に頭にきたので、少年に更に罵声を浴びせる。
「大体さぁ、魔法使いなのにほうきにすら乗れないってどうなのよ? よくそんなので魔法使いって言えるよね。あんた、魔法使い失格なんじゃないの?」
言い終わってから随分と酷い事を言ったことに気付く。でも、どうせ本物の魔法使いじゃないんだから気にしないでしょ。
俺の手品の腕もまだまだだなぁっておちゃらけて、今までの手品のトリックも教えてくれる。
等といろいろ考えていると、少年が私に近づいてきて突然私の両肩を掴みそして
ダンッ!
勢い良く、壁に押し付けた。
「痛っ……。ちょっと、いきなり何するのよ!」
「……お前に」
「え?」
「お前に何が分かる! 俺だって、好きで魔法が使えないわけじゃないんだ!!」
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