魔法使いの一日
「ソラ!! あんた何やってんの!!? あんな図体だけの犬あんたならガツーンっとやっつけられるんじゃないの!!?」

「るっ、せ…こんな、結界さえなければ……いくらでもやってやるよ……っ」


と、背後からズシン…と嫌な足音が聞こえてくる。恐る恐る振り向いて見ると……


「アトハオマエダケダ…アルジサマニタテツイタオロカナカトウセイブツメ…」


あの、私犬にまで下等生物って言われたんですけど。こいつの飼い主…たぶんあのヴァなんとかって爺なんだろうけど、どーいう躾してんだお前は。あ、ペットて飼い主に似るんだっけ。


なんて、目の前の大ピンチな状況に冷静にツッコミを入れてる私。だって、こうでもしないと平常心を保ってられないんだもん。


「亜梨珠…逃げろ…っ!」

「ヤダ」


ソラの申し出をキッパリと断る。


「皆を置いて一人で逃げられるわけ無いでしょ? それに、結界が張ってあるのにどーやって逃げろと?」


ソラに向けて苦笑し、ケルベロスと面と向かう。わー…改めて見るとなんて厳つい顔。まさに地獄の番犬。って、そんな考えは置いといて。


逃げないとは言ったものの、本当にどーしよう。このままじゃ私皆諸共殺されるよね。さすがに死ぬのだけは勘弁したいなーでもこの状況を打破する方法なんて私は持ち合わせてないし……。






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