魔法使いの一日
そんなことを暫らく続けていると、少年が突然私の手を掴み
「逃げるぞ」
と、意味不明なことを言いだし手を引っ張って走りだした。
「えっ、ちょっと!? いきなり何なの!? てか逃げるって何から」
逃げるのよ!!と言おうとした瞬間、後ろから物凄い爆発音が聞こえた。
何事かと思い後ろを振り返ってみると、今まで私達がいたところの道に直径十メートルほどのクレーターが出来ていたのだ。
「なっ……何なのあれ。なんでいきなり……」
「おい、さっさと走れ! 死にてぇのか!!」
「はぁ!? 死にたいわけ無いでしょ!!? てか何なのあれ!! あんた何か知ってるの!!?」
そんなことを言っていると、空から十数個の隕石らしきものがこちらに向かって降ってきた。少年はそれを見るとチッと舌打ちをし、私を肩に抱き抱え走りだした。
「ふぎゃあ!! 何すんの降ろしてよセクハラ!!」
私はじたばたと暴れたが、少年はそれを無視し再び走りだした。
「お前、どーいう悲鳴をあげてんだよ。もう少し女らしくできないのか? つーかこれのどこがセクハラ何だよ。バカかお前」
こんな時にもこいつは……。私は「悪かったですね!」と言い、少年の頭を殴った。
「いって! おまっ、その暴力なんとかしろよ一応女だろ?!」
「一応って何よ一応って! 大体あんたもねぇ、その口の悪さ何とかしなさいよ!!」
「お前だって口が悪いだろ!!」
「あんた程じゃないわよ!!」
さっきから何をやっているんだろう。一応自分達の身に危険が迫っているというのに……。
「って、こんなことしてる場合じゃないし! 何なのあの隕石擬き!! なんで私達に向かって降ってくるの!!」
偶然、偶々とかそういうことで片付けたら少年をボコボコにしようと思ったけど、少年は何か知っているような顔をし今まで見せたことの無いような真剣な表情を見せた。
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