魔法使いの一日


「あぁ、あれは――」


少年が何かを話そうとした瞬間。私達の目の前に隕石擬きが落ちてきて、その衝撃で飛ばされてしまった。


「きゃあああ!!」

「ッ……チッ」


そのまま私達はコンクリートか何かで出来た壁に叩きつけられた。……はずなのに、私は全然痛みを感じなかった。


不思議に思いそーっと目を開けてみると、なんと少年が私を庇っていたのだ。


「ちょっと、何やってんのよ馬鹿!! 何で自分を守らないのよ!! 私だって、自分の身ぐらい自分で守れるわよ!!」


私がそう言うと、少年は多少苦しそうに苦笑いを浮かべた。


「知るか、体が勝手に動いたんだよ。それに、魔法使いはそれなりに体を鍛えているからこれくらい大丈夫だ」


こんな時まで魔法使いと言い張るのかこいつは。そう心の中で呆れていると、突然空から声が降ってきた。


「ククク……。相変わらず反吐が出るくらいの強がりっぷりだな」


少年は顔を上げ、自分の目先にいる誰かを鼻で笑い飛ばした。


「ふっ。お前こそ、相変わらず人を闇討ちするのが好きみたいだな」


後ろを振り向くと、誰もいない道の一部が陽炎のように揺れ動き、そこから人が現れ始めた。


「なぁ? ヴァルボーネ」


そう呼ばれた男は、私達に不気味な笑いを向けた。







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