魔法使いの一日


すると、ヴァルボーネはまた愉快そうにクククッと笑った。


「あぁ、確かに俺の狙いはお前だよ。だが俺に逆らう奴はそいつも俺の狙いになるのさ」

「俺たちの国では無益な殺生はしない。ましてや異次元に住む人間を傷つけてはいけない……、その掟を忘れたのか、ヴァルボーネ」


少年が言い終わると、ヴァルボーネは大声で笑い始めた。


「ハハハハハッ!! 馬鹿め、確かに昔はその掟があったさ。しかし!! 今の王はこの俺!! 俺自身が国の掟なのだ!!」


オイオイどんだけの自己中野郎だよこのおっさん。てか全然話についていけないし。


何? 何処かでやる劇かなんかの練習でもしてるのこの人達。練習するのは勝手だけど、私を巻き込んで練習しないでほしいなぁ。にしても、劇と手品のコラボ……中々良いかも。後で少年に公演日を聞かなくちゃ。っと、その前に


「ちょっとおっさん、いい加減離してくれない? 首絞められるって苦しいんだよ? 後、私を巻き込んで劇の練習なんかしないで迷惑だから。あっ少年、この劇何時やるの? 見たいから公演日教えて」


私が言い終わると、二人はポカーンとした表情で私を見つめた。てか心なしか人のこと、異常者を見るような目付きで見てるような……。


えっ何? 私何か変なことでも言った?


するとヴァルボーネが今まで押さえていたのか(それでも十分笑っていた気がするけど)これでもか、って位に笑いだした。


「ハハハハハハハハッ!!! 人間は頭の悪い下等生物だと聞いていたが、まさか此処まで馬鹿だったとは……クックク……」


あのーすみません、笑いすぎじゃ無いでしょうか? 確かに私はあなたから見れば馬鹿かもしれませんよ? でも、下等生物は無いんじゃありませんか?


私はずーっと笑い続けているヴァルボーネに段々苛立ちを覚えてきて、お腹に肘鉄を叩きつけてやった。
それは綺麗に決まり、ヴァルボーネは呻き声をあげながら私に攻撃されたところを押さえる。そのわりには私の首を締め付けている手は少ししか緩まない。しぶとい奴め。







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