魔法使いの一日
「おっおのれ……人間ごときが、この俺に……」
「ふん。人間様をなめんじゃ、きゃあ!!」
突然私の首を締め付けている手が緩んだと思ったら、今度はヴァルボーネの腕で首を締め付けられた。しかも今度はさっきとは比べものにならないくらいの相当な力で。
「くぅ……あっあぁ……」
あっやばい。意識が朦朧としてきた……。すると、何時の間にかヴァルボーネの手に何かが握られておりその何かを私に突き付けた。それを見た瞬間、朦朧としていた意識がはっきりとした。
ヴァルボーネが持っていたものは――剣だったのだ。
「亜梨珠!!」
今まで私のあの発言でずっと放心状態だった少年も、やっと状況が飲み込めたみたいだ。
「あんた、何でそんな物騒な物持ってるの? 駄目だよ、いくらそれが偽物でも人にむけちゃ」
私が最後まで言う前に、剣が私の頬を掠めた。掠めた所は切れて痛みが走り、血が出ている。つまり……本物?
「女。そろそろお前に付き合うのも飽きた。此処まで付き合ってやったのだ、感謝しろ」
そう言い、ヴァルボーネは剣を私に向け振り下ろそうとした。
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