魔法使いの一日
それを奪われたって!?
すると、ヴァルボーネはいきなり剣を地面に突き刺し手を前に差しだした。
その手が淡く光だし、光が納まるとヴァルボーネの手のひらに、形が雪の結晶に似た水晶のような物が現れていた。
「そっそれは!」
「クククッ。分かるだろう? お前から奪い取った魔力さ」
これが!?っと思うほどそれは魔力には見えなかった。別に魔力に対しておぞましい物とかそういうイメージを持っていたわけじゃないけど……思っていたものと違って、綺麗で、びっくりしたのだ。
すると、ヴァルボーネは何かを思いついたのか妖しく笑った。う、嫌な笑い…。
「クククッ……よし、交換条件といこう。この女かお前の魔力、どちらかをお前に返してやる。但し! 女を選べば女を助ける代わりに、お前の命を貰う。魔力を選べばお前のことは見逃してやるが……女の命は無いと思え」
何だこの条件。てかこれ条件か? こいつ、どっちにしたって私達のこと殺すつもりだよ。何言ってんだこのインチキ爺ぃは。
私だったら、この条件のうち後者を選ぶよ。多分こいつの場合、少年に魔力を渡す前に少年の命を奪うだろうけど、もうこれに賭けるしかない。少年だってそれは分かっているはず……。
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