魔法使いの一日


そして少年の元に辿り着き


「おい亜梨珠大丈ぶ!!?」


少年の頬を思いっきり殴った。勿論グーでね。少年は何故自分が殴られなければならないのかまったく分からず、目を白黒させていた。


「こんの馬鹿!! 何で魔力じゃなくて私を選ぶのよ!! あいつがまともに条件を飲むわけ無いでしょ!! 馬鹿!! 馬鹿馬鹿バーカ!!!」


取り合えず、少年に言いたいことは言った。本当はもっとあるんだけど限りが無いしね。私は落ち着くために深呼吸をし、少年に魔力を渡した。


「はい、あんたの魔力」


私が少年に魔力を差し出すと、魔力が淡く光りながら勝手に動き、少年の胸元へと移動した。そしてスゥーっと消えるようにして少年の中へと入っていった。


「おのれぇ、女ぁ、よくも……よくもぉ!!」


すると今まで蹲っていたヴァルボーネが、見るものを恐怖に陥れるような目付きで私達を見ながら、苦しそうに立ち上がった。


うーんさすが魔法使い。気絶させるつもりでやったのに立ち上がったよ。ヴァルボーネが何かを仕掛けてくる勢いなので咄嗟に構えると、ヴァルボーネの横が陽炎のように揺れ動き、誰かが出てきた。







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