魔法使いの一日
ロープが解けたのを確認すると、少年の手にある携帯を素早く奪い返した。
そしてさっき録音したものを確認するが、
「あーっ!! 消去されてるー!!」
「それで消去されてたのか、よかったよかった」
少年はケラケラと笑いながら言い放つ。頭に来た私はまた少年の顔に拳を叩き込もうとしたが、さっきと同じように防がれてしまった。
そして、さっきと同じような会話をする。
これじゃ同じことの繰り返しじゃん。……やっぱりあの手段の方が効果的かな?
「少年」
「何だよ?」
少年を呼ぶと、少年は面倒臭さそうに自分の顔を私に向けた。
「さっさと本当のことを話さないと、今夜の夕食にしようと思っていたおでん取り止めにす」
「ごめんなさい、すべてお話いたします」
少年は私が最後まで発する前に、土下座してそう言った。やはりこの手段のほうが適切だったか。にしても、まさか此処までの効き目とは……ちょっと驚き。
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