魔法使いの一日


「……。駄目だよ、名前は大切にしなくちゃ」


私だって、あんな親から貰ったこの名前を大切にしてるんだから――――。
そう付け足すと、少年はとても深刻そうな顔をした。


「お前……」

「よし! それじゃ、私が少年に名前を付けてあげるよ!!」

「――――は?」


 少年は、まるで豆鉄砲をくらった鳩のような表情を見せ、これでもかって程の間抜けな声を発した。


「えっ、お前が俺の名前を……えぇ!!?」

「う〜ん、そうだなぁ〜……ポチなんてどう!?」

「俺は犬か! にしたって何だそのベタな名前!!」

「あっごめん、あんた人間だったね」

「そりゃどういう意味だ!!」


つい少年を動物のように見てしまって、ポチなんて言ってしまった。


てか、ポチって名前そんなにベタなのかな? 私動物に(特に犬に)名前を付けるとしたら迷わずポチって付けるけど。


「じゃあ、煎餅? それともおでん?」

「何で食べ物絡み!!?」







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