魔法使いの一日


机に突っ伏していじけていると、担任が教室に入ってきて教卓の上に名簿等を置き、前に立つ。そしてやる気の無い声で言う。


「おいコラてめぇら、さっさと席つけー」


担任、西原崇(にしはら たかし)先生はそう言い、眠そうに欠伸をする。そういえば、前に低血圧だとか何とかって言ってたっけ。

 
だが担任の言葉にクラスの皆はまるで無視。


「せんせー、朝っぱらから欠伸なんてしないでくださーい。俺等にまで欠伸が移りまーす」


そう言った男子はわざとらしく欠伸をする。


「何言ってんだ、朝だからこそ欠伸がでんだろ。てかお前、授業中欠伸しまくってしまいには寝てんじゃねーか。今度俺の授業で寝てたら有無を言わさず即留年させっからな」

「うわ、ひっでー!」

「職務乱用ー!」

「おい今職務乱用つった奴誰だ。表に出ろ、有り難い根性ヤキとこれまた有り難い拳をくれてやる」

「暴力はんたーい!」


と、クラスの皆は笑いだし、何だかんだ言って自分の席に戻っていく。


この先生、歳が若いのと、この先生らしからぬ性格&発言せいか、意外と皆から好かれてるんだよね。


「お前等とっくに知ってるだろーが、今日はこのクラスに転校生が来るぞ。イジメんじゃねーぞ」


そこって普通、仲良くしろとかじゃないの? と言うツッコミは心の中でしておく。







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