魔法使いの一日
「おーい、んじゃあはいってこーい」
先生の言葉を合図に、教室のドアが開きその転校生が入ってきた。
するとクラスの皆(特に女子)が、ひそひそ声だが黄色い声をあげる。私は近くの女子の会話に耳を傾ける。
「格好いいねー!」
「転校生って外国人だったんだぁー!」
へー、そうなんだー。私は今だに机に突っ伏してるから見えないけどさ。
そして転校生がお決まりの自己紹介をする。
「イタリアから来た、アルベルトです。皆さんどうぞよろしくお願いします」
私は机から顔を上げて転校生の顔を見る。
金髪に、エメラルド色の瞳。しかも顔はそこらにいる男子より上……これを世の中では美形と言うんだろーな。
私は美形の基準なんて知らないからそこんとこは分かんないけどさ。
「んじゃ席だが……よし、藤代の隣な」
「ふーん……えっ私?」
私は自分自身を示し、隣の席に見る。隣の席は誰も座っておらず、空っぽだ。
1ヶ月くらい前までは田中っていう地味〜なガリ勉君が座ってたんだけど、親の転勤が何かで転校しちゃったんだよね。
「そうだよお前だよ。そこが転校生の席になんだから譲ってやれよ」
「譲ってやれよっておかしくないですか? 私、元田中の机占領してませんけど」
「そーか? オレはてっきりそうなのかと思ってたぜ」
「私先生みたいに図太くありませんから」
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