魔法使いの一日


そんな会話をしていると、アルベルト君が指定された元田中の席に座り、私に笑いかけてきた。


「藤代さん、これからよろしくお願いしますね」

「あぁうん、よろしくね、アルベルト君」


私もアルベルト君と同じく笑いかけると、何故かアルベルト君が私の手を取る。


そして、


チュッ


ドラマや漫画かなんかで有りがちなベタなリップ音を響かせ、私の手の甲にキスをした。


突然のアルベルト君の行動に教室の皆さんはフリーズ。勿論私もフリーズ。


「あ〜…」

「おお〜」


雪と先生だけは、フリーズせずにその光景を見ていた。


「あ…ああ……あぎゃああぁぁあああッ!!!!!」


私はとても人間(ましてや女)が出しそうもない声をあげ、アルベルト君から手を振り払い後ろへと勢い良く後退った。


自分の顔に血液が集中していくのが分かる。きっと今の私の顔は真っ赤であろう。


フリーズが解けた皆(主に女子)が悲鳴をあげているが、今はそんなの気にしてられない。


私は憎たらしい位の笑みを浮かべているアルベルト君を効果音が付きそうな勢いで指を差し、かなり吃りながら問う。


「いっいきなり、なっなな……何すんだお前はぁ―――――ッ!!!」


するとアルベルト君は笑みを絶やさずさも当たり前のごとく答えた。







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