魔法使いの一日


グチグチ文句を言っていると、何時の間にか家の近くの丁字路に居た。


ここからは別れて各々で帰路に着く。雪は右に、私は左にだ。


「あんたの気持ちも分からなくはないけど、文句も大概にしときなよ。じゃあね」

「ばいばーい」


雪は私に軽く手を振りゆっくりと歩いていった。


「文句も言いたくはないけどさ、言いたくもなるよ……」


歩きながらそんな矛盾したことを呟いた。


アルベルト君の挨拶の仕方は……まあ、昔から慣れ浸しんだ挨拶方法だと考えたら、そう簡単には治らないだろうから大目には見るよ。
つーか私的にアルベルト君はもういいんだ。そんなのより女子だ女子。
ただでさえこんなに暑いのに、ミョーな視線を送らないでくれ、余計暑くなりそうだ。


そんな事を延々と考えていると、何時の間にやら家に着いていた。


考えても仕方ないか、雪が言ったとおり明日には治まってるだろうし。てか治まってくれないと迷惑極まりないのでね。


「ただいまー」


ドアを開け、まず自分の部屋に向かわずにリビングへと向かう。


うちに居候している魔法使い、ソラがちゃんと留守番できていたか兼部屋を煎餅の袋とかで散らかしてないかを確認するためだ。


もはやこれは日課になっていたりする。







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